そろそろ私、恋したくなったのかも

 

 

「何か、今日の夏ウザイな」

 

 

本当にウザそうに言ってくる大地君を見て
少し反省した。

 

 

「ごめんね。ウザイね私」

 

 

「うん」

 

 

 

そこは“うん”じゃなくて

 

“ま、冗談だけど”とか言っておこうよ。

 

 

 

「てか、私と大地君、どっちが先に相手見つけるんだろうね」

 

 

 

「どっちでもいいし」

 

 

 

冷たっ。

 

 

この場合“どっちだろうな”とか…
一応ノッてよ。

 

 

 

「ねぇ私が先だったらどうする?」

 

 

 

「どうもしない」

 

 

 

もう…

 

この人と恋バナするのはやめよう…。

 

 

「お前、何かあった?」

 

「え、どうして?」

 

「なんか…」

 

言葉を止めたまま大地君は口ごもる。

 

 

 

「何?」

 

「キモい」

 

 

…………ん?

 

この人…今“キモい”って言った?

 

 

「どういう意味よ!?キモいって!!」

 

「さっきからやたら顔がニヤついてんぞ」

 

「そ、そんなことないよ」

 

「動揺してるし」

 

「どもっただけです!」

 

 

 

ヤバい…。

 

大地君って人の心を見透かす能力とか持ってそうなんだよね。

 

鋭いというか、目敏いというか…。

 

ただ単に勘が鋭いだけかもしれないけど、もうこの際大地君にサンのこと打ち明けてみようかな。

 

でもサンとは、まだ出会ったばっかだし、言うほどのことでもないかな…う〜ん…。

 

よし!
言うだけ言ってみよ。

 

 

「大地君…あのね…あのね…う〜んとね…」

 

口がこれ以上動かない。

 

そんな私を見ている大地君は「お前…俺に惚れてんのか?」って。

 

ないない。

 

「違うし!惚れるわけないじゃん!」

 

「惚れるわけない。って酷くね」

 

 

「あ、ごめん。そうじゃないの…って、もういいや。やっぱいい」

 

「なんだよ?言うなら最後まで言えよ。気持ちわりぃな」

 

 

「今度話す」

 

「今度って?」

 

 

「気持ち確信したら話す」

 

 

それを聞いた大地君は意味を分かっているのか、いないのか、「あっそ」と言って煙草に火をつけた。

 

 

 

サンとまた会うかもどうかも分からない。

 

“また会いたい”とか言ってたけど私をからかってただけかもしれないし。

 

帰り際の社交辞令的な挨拶かもしれない。

 

それでも“恋”かもしれないと感じたこの想い。

 

 

もしかしたら、

 

私は大地君や純平以外の男の人にあまり免疫がないから、甘い言葉をかけられて心踊らされてるだけかもしれない。

 

 

 

甘い言葉じゃなくて、愛の言葉がほしいな。

 

そろそろ私、恋したくなったのかも。

 

 

 

 

サンに出会って、そう思えた。