結婚おめでとう

大地君と同様、海と別れてから誰とも付き合っていないし恋さえもしていない。

 

 

短大の頃、未来は出会いの場(コンパなど)に足を運んでいて、大地君を吹っ切る為に沢山の出会いを求めたりもしていたけど、私はそういう場所には一切参加しなかった。

 

 

 

彼氏がほしくないわけでもないけど、気分が乗らない…。

 

ただそれだけの理由だった。

 

 

だから短大時代、振り返れば楽しい時期に恋の出会いと呼べるものは何一つなかった。

 

 

それは社会人になった今も変わらない。

 

会社の男性社員にご飯を誘われることがなければ、親しく接しられることもないし、親しく接することもない。

 

 

たまに飲み会の誘いがきても、親睦会や会社行事の飲み会の幹事を任される、といった役目。

 

 

 

周りから見たらつまらない日常かもしれないけど、それが私の選んだ道だから仕方ない。

 

 

私が恋をしたのは後にも先にも海…ただ一人。

 

 

そんな生涯だったら本当につまらないと思われるだろう。

 

 

でも、それでもいいかな…って思うあたりが

 

“なっちゃんらしいよ”

 

と、この人は言ってくれる。
宮内ルミ。

 

現在、私とルームシェアをしているこの人は、高校時代、海と行った飲み会で知り合った人だ。

 

 

最初は嫌な人と思っていたけど、実はいい人で、縁が続いて一緒に暮らし始めて、今では私が一番心を許せる存在になっている。

 

 

 

「今日、服見に行ったんでしょ?いいのあった?」

 

夕飯のトマトパスタを食べているときにルミさんに聞いた。

 

 

 

「あんまピンとくるのがなかったのよね。まぁどうせ二次会だけだし、そこまでお洒落する必要ないしね」

 

「そっか二次会だけだもんね」

 

 

「そうよ、だから普段着でもいいくらいよ」

 

「ルミさん普段着もキレイにしてるもんね。てかもう来週かぁ。早いよねぇ」

 

 

 

ルミさんは私の反応を気にするように少し気まずく聞いてきた。

 

「やっぱちょっとショック?」

 

 

 

私は笑顔で答えた。

 

「ううん、全然」

 

 

来週、海と春菜先輩の結婚式が行われる。

 

その結婚式の二次会に大学時代の友人であるルミさんが呼ばれいる。

 

 

 

海と春菜先輩が結婚することは、私と海が別れた時点で予想はしていた。

 

絶対的な二人だから、きっと最期まで生涯を共にするだろうと。

 

 

 

複雑な気持ちなんてない。

 

あんなにも好きだった人(海)は思い出の中に消えたんだ。

 

 

もし、もう一度海に会うことがあるなら、私はこう言うと思う。

 

 

「久しぶりだね」って笑顔で言って、

 

「結婚おめでとう」って心から祝福すると思う。

 

 

 

 

ときの流れというものは、心を浄化させてくれる。

 

思い出と共に私の心の中から海への想いは消えた。

 

そして、
ささやかながらも海の幸せを願った。